理事長挨拶

理事長 今村佳樹
一般社団法人日本口腔顔面痛学会
理事長 今村佳樹

 

 深秋の候,会員皆様におかれましては,ご健勝のことと存じます。このたび,法人化二期目の理事長を務めさせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
 日本口腔顔面痛学会(Japanese Society of Orofacial Pain)は,2009年4月1日にそれまでの口腔顔面痛学会とJapan Academy of Orofacial Painが合併して発足したもので,まだ現在の形になってから10年にも満たない比較的新しい学会です。しかしながらこの8年間で会員数は700名に達し,発足当初の3倍以上に増えました。この事実は,本学会が専門とする領域が新しい領域として捉えられがちながら,歯科臨床の場では常に必要とされる基本的知識として認識される機会が増えたことを意味します。痛みは歯科医療のすべてにかかわる基本的な事項でありながら,あまりに当たり前の症状として見過ごされることが多かったことに皆さんが気付いたことによると思われます。実は,もう少し知識が深ければ,もっと早く患者さんを楽にすることができたと思われることが少なくないはずです。
 痛みの研究は,この20年で飛躍的進歩を遂げました。しかし,未だ慢性痛の解明,解決には至っていません。歯科を受診する患者さんの主訴は多様化する傾向にありますが,痛みはその中でも主要な要素であることに変わりはありません。しかし,8020運動の成果に見るように,患者さんの口腔環境は一昔前と比べると確実に向上しており,いわゆるう蝕,歯髄炎による急性痛が減少した代わりに,筋痛等による慢性痛の訴えが増えていると思われます。このような受診患者の病態の変化は,従前の歯科医学の知識では対応できないものです。私たちが専門とする領域は,ますます需要が増えてゆくと思われます。
 日本口腔顔面痛学会は,歯科の各領域を背景とする歯科医師,医師,コメディカル,基礎研究者からなり,学際的,横断的に探索医学(tanslational medicine)を実践している最もユニークでアクティブな学会の一つです。このような団体は国際的にも多くはなく,アジアをはじめ広く国際的に活動を発信してゆく必要があると考えています。日本口腔顔面痛学会は,常に患者さんの健康と幸福に応えるべく,安全で有益な歯科医療と歯科医学の発展に取り組んでまいります。会員の皆様の倍旧のご協力を宜しくお願いいたします。

平成29年11月